Rim Design Office

一級建築士事務所

東京下町の外科医先生

集合住宅工事で事前挨拶や工事のお知らせで近隣訪問をしている中で
興味深い話をして下さる方がいます。
墨田区で個人医院を開業していた91歳の外科医の先生です。
初めて工事挨拶で伺った際、今は閉院している外科医院の待合室で
沢山お話を伺いました。

戦争を体験されており、空襲では墨田区も一面焼け野原になり、先生ご自身はレンガ塀の影に隠れて空襲を免れたそう。当時は街を歩くと白骨がいたるところで目につくような時代だったそうです。

そして最近この外科医先生に自分の作品が載っていると同人誌を手渡されました。
この年齢で執筆活動をしていることに驚きます。

早速帰って読ませていただきました。
さいころの記憶、早くに亡くなったお兄様との遠出、外科医を引退してからの
心模様、毎日の精神の広がりなどが小説に綴られていました。
先生の心の中をまさしく覗いているような感覚になりました。

自分の考えを他人に伝えるためには、言語化、文字化、映像化など他にも沢山ありますが、例えば文章であれば、使う表現や、言葉の選択、リズム感などで読み手が受ける印象は全く異なります。
そういったことを一つ一つ積み重ねながら自分の考えを形にする執筆という行為はとてもクリエイティブです。

外科医先生もこの年齢でまだまだ心も体もお元気で執筆活動をされており、とても素晴らしいと感じます。
いつまでもお元気でいてほしいし、次に会うときは新しい作品も楽しみにしていることを伝えたいと思います。

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